フローケミストリーとベイパーテック (Vapourtec) 社の紹介

フローケミストリーとベイパーテック (Vapourtec) 社の紹介

フローケミストリーは連続フローまたはプラグフローケミストリーとも呼ばれる化学反応で、連続的なフローの中で稼働する化学反応です。反応体が混合装置に注入されて、温度制御されたパイプやチューブ、マイクロリアクターの中を流れていき、このフローは反応が終了するまで続きます。

混合装置とリアクターは通常、望ましい反応を促すのに適した温度に維持されます。しかし、反応体が電束または光子束に触れて、電気化学反応や光化学反応が促されることもあります。

バッチ方式とフロー処理

従来のバッチ方式に比べて、フローケミストリーには以下のような利点があります。

危険物質を扱う際の反応の安全性がアップ。 優れた熱除去機能により、激しい発熱反応を安全に管理することができます。バッチ方式に比べると、フローケミストリーでは、いつでも処理されている危険物質のリストが最小限にとどまります。

ガスの発生を伴う反応の安全性がアップ。フローケミストリーでは、ガスが発生する最大速度は試薬の注入速度によって制限されます。バッチリアクターではガス発生速度が制御不能になることがあり、爆発につながる可能性があります。

高圧下での反応の安全性がアップ。フローリアクターはヘッドスペースを必要としません。そのため、高圧に圧縮された気体/蒸気の量に関連する危険がなくなります。

バッチリアクターでは単純に不可能な反応状態を実現可能。フローケミストリーにおける反応時間は数秒またはそれ以下に正確に制御できるため、別の反応段階で直ちに反応を起こさせ、反応中間体を素早く生成することができます。

反応時間の短縮化。フローリアクターは簡単かつ安全に加圧できます。これにより、溶媒の通常の沸点をかなり上回る温度で反応させることができ、還流状態に比べて反応速度が1000倍速くなります。

スケールアップのための迅速なルート。バッチ反応のスケールアップを行う際の問題点はよく知られています。フロー反応では、単純に運転時間を長くするか、より大きなリアクターを使用して流速を高めることによって、それよりずっと簡単にスケールアップを行うことができます。

光化学反応従来のバッチ方式の光化学リアクターは、光化学反応のスケールアップを行う場合は特に制約を受けます。連続フローと光化学を組み合わせることによって、安全性が向上し、バッチリアクターがもたらす制約を取り除くことができます。

下流プロセスとの統合下流プロセス、ワークアップ、解析をフロー処理に組み込むことができます。水溶性ワークアップ、金属純化カラム、イオン交換樹脂といった工程の追加が可能です。UV、導電率、PH、さらにFTIRのオンライン解析技術を容易に導入することができます。

反応の最適化と試薬のスクリーニング。フローケミストリーに自動システムを追加することによって、反応状態を素早く変化させることができ、反応を小スケールで無人運転させることができます。オートサンプラーをシステムに追加すれば、ライブラリの合成や試薬/触媒のスクリーニングを実行できるようになります。
詳細なアプリケーションの例は、applicationsのページをご覧ください

ベイパーテックのフローケミストリー・システム

ベイパーテックは二種類のフローケミストリー・システムを製造しています。

フローケミストリー・システムは、いずれのシリーズも共通する多くの特長を備えています。以下でこれらの製品シリーズの重要な特長を取り上げていきます。

Eシリーズ

  • E-Series 2 pump easy-Scholar

    E-Series easy-Scholar configuration

  • E-Series easy-Polymer

    E-Series easy-Polymer configuration

  • E-Series 3 pump easy-Medchem

    E-Series easy-Medchem configuration

  • 3 pump easy-Photochem

    E-Series easy-Photochem

  • e-series-badge-square

    E-Series Badge

  • V3 pump - flow chemistry systems

    E-series V3 pump

Eシリーズは、実に画期的なフローケミストリー・システムです。

堅牢性

  • ポンプで強酸類の処理が可能。
  • 空気と湿気に弱い試薬の使用が可能。
  • 懸濁液、スラリー流体、ガスのポンプ注入が可能。

手頃な価格

  • ラボ用のマイクロ波シンセサイザ-と同程度のコスト。

使いやすさ

  • シンプルで直感的に操作できるタッチスクリーン式のインターフェース。
  • 押しボタン式のポンプ注入。
  • 梱包を解いてすぐに使用可能。

多様性

  • あらゆるリアクターと使用可能。

あらゆるタイプの合成応用分野に対応できるように、ベイパーテックは4種類のEシリーズ・モデルを製造しています。

ベーシックなRシリーズ・システム

  • RS-600-multiple step reaction system

    R-Series RS-600

  • Vapourtec solid-phase-peptide-system

    R-Series RS-500

  • R-Series RS-400

    R-Series RS-400 configuration

  • RS-300 multiple pump flow chemistry system

    R-Series RS-300 configuration

  • RS-200 with R2C+

    R-Series RS-200 configuration

  • RS-100 flow chemistry system

    R-Series RS100 configuration

  • R-series inert gas balnketing

    R-Series Inert Gas Blanketing

  • Vapourtec autrosampler pacakge

    R-Series Autosampler

Rシリーズ・システムは、R4リアクター・ヒーター・モジュール (下部) とR2+ポンプ・モジュール (上部) から構成され、場所をとらない積み重ね型となっています。

R4ヒーター・モジュールには以下のような独自の特長があります。

  • 独立した温度調節が行える4つのポジションがあり、それぞれチューブまたはカラムリアクターに対応。
  • リアクターの交換があっという間にできる迅速で容易なセットアップ。
  • • 温度制御は-70°Cから250°Cまで。

革新的な空気加熱/冷却リアクター技術により、以下のことが可能です。

  • リアクター (チューブまたはカラム) 全体で試薬が見える設計。
  • 発熱反応を安全に管理。
  • 異なる温度設定の間を迅速に移動できるシステム。
  • 扱いにくかったり有毒なこともある伝熱流体に触れることなくリアクターの交換が可能。

一方、精巧なR2+ポンプ・モジュールは、以下のような特長を提供します。

  • 2つの独立したポンプ・チャネル (4つまで拡張可能、以下参照)。
  • 気泡や固体粒子によってポンプの流速に支障が起きた場合に、独自の性能モニタリング・システムが警告を発し、表示される流速が常に正確であることを保証してくれます。
  • 小スケールの反応を実行するためのサンプル注入ループ設備。
  • 漏れや詰まりを自動的に検知するので、安全に無人運転できます。

リアクター

RシリーズおよびEシリーズ・システムは、プラグイン式の同じリアクター・モジュールを共有します。リアクターの種類は広範囲にわたり、以下の写真はその数例にすぎません。下記の右側にあるリストに全種類が記載されています。

  • 標準コイル式チューブリアクター
  • マイクロミキサー/チップ式リアクター
  • カラムリアクター
  • 光化学リアクター
  • 冷却式チューブリアクター
  • 冷却式カラムリアクター
  • 加熱混合式チューブリアクター
  • 気液リアクター
  • 加熱式背圧レギュレーター (BPR)

詳細情報: www.vapourtec.com/products/flow-reactors/

Rシリーズ ソフトウェア

このソフトウェアは専用タッチパネルまたはWindows PCで稼働し、Rシリーズ・システムを完全な自動最適化プラットフォームにすることができます。

  • 流速、バルブ、ポンプのタイミングをすべて計算でき、実験のセットアップを迅速化します。
  • 反応セットアップとデータのロギング、レポート、保存、共有が可能。
  • 独自の分散計算アルゴリズムを含み、最終的な生成物が定常状態に達する時期 (回収時期) を予測します。最小限の試薬を使用して最大限の生成物を回収できます。
  • 即時のスケールアップ:大きいリアクターを選択すると、ソフトウェアがすべてのフローを再計算します。
  • 必要な場合は、ユーザーがLANを介して遠隔的に装置をモニター/操作できます。
  • 他の外付け機器を追加することができます (下記参照)。

フラクションコレクターを追加

フラクションコレクターを使用すると、ユーザーは一連の反応プロセスを待ち行列に入れることができ、システムがそれらを実行する間、無人運転ができます。

  • 反応は何回でも、無人実行用に待ち行列に入れることができます。
  • 数種類の人気の高いモデルのフラクションコレクターに対応。
  • 中間で解析用に少量の分割量を別個に採取できる機能。
  • ユーザーは個別の反応ごとに回収する量とバイアルの数を指定できます。

試薬チャネルを追加

1~2のチャネルを追加 (最大4チャネルまで) することで、多段階の反応が可能になります。

  • 最大4つまでの別個の試薬を使用可能。
  • 多段階反応を実行。
  • 選択性を向上させるために部分追加を行えます。
  • 連続反応のための回収と注入を自動化します。
  • オンライン反応停止。
  • 水溶性ワークアップ。
  • 触媒カラムの再生処理。

オートサンプラーを追加

必要に応じて、各反応サイクルごとに異なる試薬を注入できます。ライブラリの合成や触媒のスクリーニングに対応。

  • 1回の注入ごとに0.5~10mLを最大4つの試薬ループに送液できます。
  • オートサンプラーは同時にフラクションコレクターとしても利用が可能です。前の反応物を次の反応過程で試薬として使えます。
  • ライブラリの自動生成。
  • 試薬または触媒をスクリーニング。

ベイパーテック (Vapourtec) 社について

ベイパーテックは、英国のケンブリッジ近郊を拠点とするテクノロジー企業です。当社は長年にわたり、創薬業界向けに世界をリードする実験装置を製造してきた実績を誇ります。

ベイパーテックは、フローケミストリー・システムの開発と製造を行っています。革新的な数多くの機能を組み合わせて、クラス最高の精度と再現性、より迅速な反応最適化、再生産可能な即時のスケールアップを提供するプラットフォームを構築しています。

ベイパーテックの活動の中核をなしているのは、堅実なエンジニアリングに傾ける確固としたコミットメントで、信頼性と堅牢性を最初から築き上げることができます。これは顧客の皆様の満足度に表れていて、多くのお客様から繰り返しご注文を承っております。

Vapourtec flow chemistry head office

科学的刊行物に見る成功事例

現在、ベイパーテックのPublicationsページには1,148 を超えるピアレビュー文書の抜粋が掲載されていて、それぞれがベイパーテックのシステムを使って成し遂げた業績に言及しています。こうした刊行物の数は、ベイパーテックの一番の競合会社と比べても二倍以上です。他社のシステムの利用者に比べて、ベイパーテックのシステムの利用者が発表する成功した研究報告の数が圧倒的に多いのはなぜでしょう?

ベイパーテックのシステムには、次のような確実に有益な特長があります。

  • ベイパーテックのシステムは柔軟性に富み、変化する研究ニーズに適合させることができます。
  • ベイパーテックのシステムは非常に生産性が高く、ユーザーができることを増やしてくれます。
  • ベイパーテックはクラス最高のフローと温度管理の精度を提供し、結果の再現性が保証されます。
  • ベイパーテックのシステムは高い信頼性と使いやすさが特長です。ユーザーはシステムのことではなく、ケミストリーについて考えるのに時間を充てることができます。

グローバルな製品サポートで収めた成功

ベイパーテックは、世界中で使用されている 1,000+ を数える小規模のフローケミストリー・システム向けにサポートを提供しています。英国に拠点を置くサービス部門は、お客様の拠点が米国、カナダ、南米、オーストラレーシア、ヨーロッパ、英国のどこにあろうと、迅速な対応とソリューションを提供できることを誇りに思っています。
詳細については、[email protected] までご連絡ください

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