期日: 2014 May 24 | カテゴリ: ニュース
ベーパーテック社 (英国サフォーク) は画期的な光化学反応装置、UV-150 を開発しました。これは、高い効率性と優れた精度、一貫性、安全性、そして拡張性を備えた光化学合成の実現につながるもので、考えられる新製造プロセスとともに、新しい化合物やビルディングブロックを誕生させる可能性を提供します。
2 年の開発期間を経て、プラグアンドプレイの反応装置は、業界初となる様々な特長を提供します。煩雑な設定を必要としないこの装置はフローケミストリー分野で独特のもので、世界各地の何百というラボラトリーで使用されているベーパーテック社の R シリーズや E シリーズのフローケミストリー・システムを補強する製品として設計されました。
UV-150 は、150 ワットのランプやフィルターに加えて、より優れた動力、分析、温度制御を実現する反応器を備えた独自のデザインのおかげで、これまでなかった光化学プロセスを安全に利用する道を切り拓いています。容積は同様の処理能力を持つ他の反応装置の約 10% というこの装置は、-5°C ~ 80°C で動作します。
博士課程を修了した経験豊かなフローケミストリーの専門家で、ケンブリッジ大学のレイ教授率いるグループの UV-150 を使った研究に参加したダンカン・ブラウン氏は、こうコメントしています。「光化学とフローメソッドを組み合わせることで生まれるメリットについては、ブッカー・ミルバーン氏とベリー氏による最初の研究報告 (ϯ) で実証済みです。しかし、ベイパーテック社のシステムが持つモジュール性と利便性とコンパクト性は、多大な数の化学者たちが、機能化可能な興味深いビルディングブロックの生成につながる光化学的に誘導される反応領域を探っていくための好機を提供してくれるものです。このような重要な技術をすぐに利用できることは、合成化学にメリットをもたらすことにほかなりません」
ベーパーテック社の代表取締役社長ダンカン・ガスリー氏は、この新しい反応装置は連続フロープロセスにおいて光化学が持つ可能性に劇的な影響を与えうるとしており、次のように述べています。「UV-150 は実にユニークな技術革新です。これは化学者たちに、“少ない試薬”で、既存化合物や新化合物を拡張性の高い方法で製造する道を探るチャンスを与えてくれます。また、化学分野で従来行われてきたバッチ方式に替わる、はるかに効率的な技術なのです」
「伝統的なバッチ方式では本来、制御性と拡張性が欠如しているため、現在のグリーン光化学プロセスは危険な場合があります。プラグアンドプレイを特長とする連続処理式 UV-150 は、専用の小型電源で使用しやすくなるほか、特許取得済みの冷却システムが別のメリットをもたらしてくれます」
「UV-150 は実際的な物理特性を備えており、コンパクトな 150 ワットの高輝度ランプ、温度制御機能、波長フィルタリング、反射面はいずれも、ランプから発光される光量子が試薬によって効率的に吸収されるように設計されています。さらに、オプションの分光計を取り付けられるようになっていて、これは、試薬による吸収をリアルタイムでモニターできるようにするもので、これもまたユニークな特長となっています」
「アルテミシニンは現在最も有効なマラリア治療薬で、これは、連続フロー合成で光化学を使って何を達成できるかを示す理想的な例です」
「2011 年後半、マックス・プランク・インスティチュートのゼーベルガー教授とレヴェック博士が、クソニンジン (Artemisia annua) から抽出したジヒドロアルテミシン酸のアルテミシニンへの連続フロー変換について報告していて、その中枢にあるのが光化学の連続置換反応なのです」
「現在、フローケミストリーの分野で利用できる反応装置の中で、これほど効率的で使いやすいものは他にありません。私たちは、これが今後、化学や製薬分野における数多くの技術革新で中心的な役割を果たすことになるものと確信しています」
「いまだ十分に活用されていないとはいえ、光化学に対する関心は高まりつつあり、これは産業界のニーズに応える理想的な技術です。これまでに私たちが開発したものの中で最大の技術革新で、学術研究、医薬品、環境化学、工業化学をはじめとする数多くの分野における重要性と応用性に焦点が集まっています」とベーパーテック社のダンカン・ガスリー氏は付け加えています。
ベーパーテック社は、教育、医薬品、工業など、世界中の様々な事業分野向けにフローケミストリー・システムの設計と製造を行っており、その技術は、近年における研究活動がもたらした大革新の中心的な役割を果たすものと言われています。
2003 年に設立されたベーパーテック社は、その技術革新を通して繁栄を続ける国際市場を開拓し、米国、中国、日本、シンガポール、インドなどの先進諸国多数で販売活動を展開しています。
詳細情報:www.vapourtec.co.uk/products/photochemicalreactor
以 上
ϯ J. Org. Chem. , 2005, 70 (19), pp 7558–7564. DOI: 10.1021/jo050705p. Publication Date (Web): August 13, 2005. Copyright © 2005 American Chemical Society.